Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
おくにはそれまでのつなぎだ、と彼は思っていた。すると、まるで誂えたように、おみのがあらわれたのである。
「いつも女が運を持って来るが、こんどこそ身を固めるときだな」と彼は呟いた、「――逢うときには惜しげもなく散財するが、あたしもお金は好きだと云ったし、貸金の証文を見たがるところなど、おれと性が合っているかもしれないぞ」
おそらく持参金も相当あるだろう。ことによったら医者のほうは廃業して、海石と豊島屋だけにしてもいいな、そんなことを考えていると、やがて駕籠がおりた。そこは平松町の角で、彼は自分の店へは決して駕籠を乗り着けない。必ず一町くらいはなれたところでおりるのだが、駄賃を払って歩きだすと、うしろから呼びとめられた。
「おまえさん豊島屋の人だね」
得石は振り返った。風態の悪い、ならず者のような男が立っていた。縞の単衣に双子縞の袷を重ね、三尺に草履ばきで、手拭の頬かぶりを鼻の先で結び、ふところ手をしていた。得石は「いや」と首を振った。
「豊島屋へはゆくがあのうちの者ではない」と彼は答えた、「私は京橋水谷町の医者で」
「海野得石ってえんだろう」と男が云った。