Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
蕎麦を喰べ終った子が、母親のところへ寄って来てぐずりだした。もっとなにか喰べるのだという、およねは小銭を出して与え、もう夜だからそれでがまんをし、明日になったらすきな物を買ってお喰べなさい、となだめた。
「だめなことはわかってました」おつるは礼を述べてから続けた、「旦那は留守だといい、おかみさんが出て来て、わたしのことを犬畜生のように云うんです」
むろん一言もない、相手にすれば亭主を寝取られたのだ。どんなに憎んでも憎みたりないであろう、おつるはなにも云わずに帰って来た。そのときたった一度「死んでしまおうか」と思ったということだ。
「そんなことを考えたのはそのとき一度だけで、すぐに、いやなこったと思い直しました」とおつるは云った、「ちゃんとした夫婦でいて亭主に先だたれ、二人も、三人もの子をかかえてやってゆく人が世間には幾らもいる、なにくそ死んでたまるものかって思いました」
それから源次郎を外で捉まえようとし、暇をみては店から出て来るのを見張っていた。三度ばかり捉まえたが、力ずくで突き放されてしまったので、今夜は他人のいる前で話をつけようと思い、ばくろ町まで跟けていった、ということであった。