Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

「まったく怖うござんすからね」女中は茶を淹れ替えながら云った、「でももう消えましたでしょう、お武家屋敷でようございました、なんて申しては悪うございましょうけれど、こんな年の瀬になって町家が焼けでもしたら、それこそみじめでございますからね」

「そうね」おしのはぼんやりと云った、「お武家なら御領地もあるし、――」

女中はむろん聞いてもいない、茶をすすめてから、「お伴れさまはおそうござんすのね」と云った。おしのはやはりぼんやりした口ぶりで、あの火事で道を塞がれたのではないか、と答えた。

「そんなことかもしれませんね」女中は炬燵の火をみてから、立ちあがりながらおしのの横顔を見た、「――そろそろお支度を致しましょうか」

おしのはそうして下さいと答えた。

火事は消えていた。飛び火はせず、その武家屋敷だけで済んだらしい。焼け落ちた建物のかがりが、ぼっと赤く、余煙を染めているだけで、やかましかった物音や人声も、もうこっちまでは聞えて来なかった。すると、にわかに寒さがしみるように感じ、おしのは障子を閉めて、炬燵のほうへ戻った。

女中が酒の支度をして来た。火鉢に燗鍋、徳利に角樽、それから盃だけのせた膳。