Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

「うそよ、そんなこと」おそのは片手でなにか打つようなまねをした、「あたし伊勢久のおとよさんやなにかと江ノ島へ」

「よしておっ母さん、あたし伊勢久さんへもいったのよ」おしのの眼から涙があふれ落ちた、「伊勢久のおばさんに会って、おばさんに教えられて中村座までいったんですから」

「あらいやだ、ずいぶんなことをするのね」

「お父つぁんが大晦日の晩にまた倒れて、こんどこそどんな名医でもだめだって云われたからよ」おしのは指で眼の下を拭きながら云った、「あんなにがまん強いお父つぁんも、こんどはいけないって云いだすし、どうしてもおっ母さんに帰ってもらわなければならなかったのよ」

「それにしたって」とおそのが云った、「ひとのあとを探りまわるなんてひどいじゃないの」

「ひどいですって、――おっ母さんは、自分はひどいとは思わないんですか、危篤の良人をみまいもせずに、よその男と遊びまわっていて、それで悪かったとも思わないんですか」

「ちょっと云わせて、あたしにもちょっと云わせて」おそのは坐り直そうとしたが、酔っているためうまくゆかず、横坐りのままで云った、「あんたにはわからないだろうけれどね、おしのちゃん、あたしとあの人が夫婦になったことが、そもそも間違いだったのよ、お祖父さんに云われていっしょにはなったけれど、あたしは初めからあの人が好き