Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えせものがたり

似而非物語

山本 周五郎

Leggi 似而非物語 (えせものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.817 caratteri · 64 schermate

Aozora Bunko

「おうよ、杢助さまが知ってござるだよ」

弥市は拳をふり廻し、はだしの足ではねながら喚きたてた。娘たちは声をあげて笑った。その小さな、がに股の、しなびたような弥市が、はねあがりはねあがり喚くさまは、老いぼれ猿が怒ってでもいるようで、娘たちには忍耐のしようのないほど可笑しいらしかった。

「三つ沢に湯小屋が出来ただって」

杢助は寝返ってきせるを取った。

「それじゃあ、まだ、あそこには涌き湯が出ているだな」

彼はまただるそうに煙草を詰めた。彼には眼の前の騒ぎが見えもせず、聞えもしないようであった。娘たちは土間の方へゆきながら、艶のある声でこっちへ呼びかけた。

「杢助さまよ、岩魚を持って来ただよ」

「おら米を五升持って来ただわさ」

「おんだらが今朝早く曲り瀬で捕っただ、七寸もある肥えた岩魚だに、みんなで五尾あるだによ」

「おらが自分で搗いた米だでな、ほんによ、おらが自分で搗いただから」

洗濯物だという娘もあり、山菜を採って来た娘もあった。彼女たちは互いに、自分の貢物で杢助の注意をひこうとしながら、互いに押したり叩いたりした。華やいだ声できいきい叫びながら土間の中へ入っていった。