Classici giapponesi con furigana
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えせものがたり
似而非物語
山本 周五郎
Leggi 似而非物語 (えせものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.817 caratteri · 64 schermate
九
「どうせまた会得したんだべさ、つまらねえ」
九
いったい「会得」とはなんであるか。かれらはなにを「会得」するのであるか。杢助にはまるで腑におちなかった、極意だの秘伝だの、しょせんは剣術がずぬけに上手で、うまく人を叩きのめすことのできる人間が、その術に箔を付けるための呪文みたようなものであろう。杢助などにはもともと無縁であり、どっちでもいいことであったが、そうつぎつぎに会得されては困る、二之木はまあいいとしても、肩を叩くのがうまい四之木、炊事や洗濯の上手な五之木、こう続けざまに出ていかれては、草庵の生活はやってゆけないのである。現にもう、役に立つのは一之木ひとりであった。炊事そのほか、杢助の世話をするのは一之木太郎だけであった。三之木は水だけは汲むが、あとは木剣と睨みあっているばかりだった、暇さえあれば木剣を睨んで、呻き声をあげたり、膏汗をたらしたりするばかりだった。
「ばかばかしい、なんちゅうこんだ」
杢助はこう呟いた。
「あいつこそ会得すればいいだに、あの三之木こそよ、なんの役にも立たねえで、どうしてまた会得しねえだかさ、うう、どうしてだかさ、ばかばかしい」