Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゅんかん

俊寛

芥川 竜之介

Leggi 俊寛 (しゅんかん) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.263 caratteri · 33 schermate

Aozora Bunko

すると御主人も御笑いになりながら、

「その手招ぎが伝わっているのじゃ。嗔恚の祟りはそこにもある。あの時おれが怒りさえせねば、俊寛は都へ帰りたさに、狂いまわったなぞと云う事も、口の端へ上らずにすんだかも知れぬ。」と、仕方がなさそうにおっしゃるのです。

「しかしその後は格別に、御歎きなさる事はなかったのですか?」

「歎いても仕方はないではないか? その上時のたつ内には、寂しさも次第に消えて行った。おれは今では己身の中に、本仏を見るより望みはない。自土即浄土と観じさえすれば、大歓喜の笑い声も、火山から炎の迸るように、自然と湧いて来なければならぬ。おれはどこまでも自力の信者じゃ。――おお、まだ一つ忘れていた。あの女は泣き伏したぎり、いつまでたっても動こうとせぬ。その内に土人も散じてしまう。船は青空に紛れるばかりじゃ。おれは余りのいじらしさに、慰めてやりたいと思うたから、そっと後手に抱き起そうとした。するとあの女はどうしたと思う? いきなりおれをはり倒したのじゃ。おれは目が眩らみながら、仰向けにそこへ倒れてしもうた。おれの肉身に宿らせ給う、諸仏諸菩薩諸明王も、あれには驚かれたに相違ない。