Classici giapponesi con furigana
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びぜんめいきゅうでん
備前名弓伝
山本 周五郎
Leggi 備前名弓伝 (びぜんめいきゅうでん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.649 caratteri · 50 schermate
二
なつが三之丞を庇うのは、いつもこういう風だったのである。
二
十九歳で家督相続をした三之丞は、師範の推挙でお弓組にあげられた。備前岡山三十五万石の領主池田光政は、文武の道に精しい古今の名君であったが、武芸のなかでは特に弓が好きで、城中居間の側に巻藁を備え、常に弓組の者に射させて絃音を聞くのを楽しみにしていたくらいだった。……したがって弓組にあがるのは名誉としてあったものだが、お役に就いた三之丞は別にぬきんでる様子もなく、ごくあたりまえに勤めていた。岡山在国のある年、旭川の畔りへ鷹狩りに出た光政が、珍しいくらい大猟で、雁を馬につけるほど獲って帰城した、奥へ入ろうとしたときである、ふとうしろの方で、「今日の牛蒡狩りはいかがでしたか」という声が聞えた。ふりかえってみると鷹匠の側に見馴れない若侍がいる、「いまなにか申したのはその方か」光政は聞き咎めて声をかけた。「はっ、恐れながら私でございます」「なにか牛蒡狩りとか申したようだが、牛蒡狩りとはなんのことだ」「はっ、それはその……でございます」「分らぬ、もっとはっきりと申せ」「では仰せに従い申上げます。今日まで折々お上が鷹狩りをあそばしました時は、雁の吸物のおさがりがございます」