Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
腕の疵は、口を開いていて、指が切口へくっついた。脇腹の疵は、疵よりも、そこから流れ出た血で、着物の肌へこびりついている方が大きかった。
(深手はないらしい)
と、思った。と同時に
(死んではならない)
然し、そう感じて、動こうとすると、身体は、鉛のように重かった。
(牧に捕えられては?)
そう思うと、ここで、死んだ方が、立派な最期のように思えた。小太郎は、左手で、腰をさぐった。刀の鞘も無くなっていた。手を廻すと、脇差があった。
(腹は切れる)
小太郎は、一尺二寸しかない脇差が、世の中で、一番頼もしい友達のように思えた。そして、脇差を力に、起き上ろうとした。一時に、身体も、手も、脚も痛んだ。
(これしきに――)
半分、身体を起して、片手に脇差を、片手を地に、支えながら、起き上って、足を投げ出した。
(ここは、京だ。十三里西へ行くと、母も、妹もいる。逢いたいが――)
涙も出ないし、悲しくもなかった。
(然し、逢えぬ。言伝を――)
と、思った時、小さい灯が、ちらちらした。
(家がある)
小太郎が、そう思った時、灯が、左右に揺れた。
(提灯だ)
小太郎は、呆然としていた眼を光らせた。