Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
それは、死んで、この棺の中に、納まっている高崎五郎右衛門の死体へ、傷をつけているのと、同じように思えた。少し離れたところの焚火の周囲に、しゃがんでいた足軽の一人が
「誰か、来る」
と、云った。人々が、一時に、その眼の方を見ると、大きい、太った男が、近づいて来ていた。
「御奉行様の、身寄りかのう」
「聞いて、駈けつけたのだろう」
「駈けつけるって、あんなものじゃない。あいつあ、人並より、のろいではないか」
ところどころに、墓標が立っていたり、ところどころに木と草叢とのある原――いくつかの、罪人の死体の埋まっている原の中を、だんだん近づいて来る侍を、じっと、眺めていた足軽の一人が
「あいつは、西郷でないか? そうじゃ、吉之助じゃ」
と、云った。
「吉兵衛の倅か」
棺を、すっかり掘り出した二人の人夫は、土の中へ、脚を埋めて、二人とも、棺を肩へ当てて、穴の中から、棺を土の上へ、押上げていた。
「よいしょ」
「こらっ」
二人は、足を踏ん張り、土を掴み、歯を食いしばって、押出していた。
西郷は、静かに、近づいて、棺の押上げられているのを見ると、ずかずかと、二人の方へ、足早に歩いて来た。