Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate

Aozora Bunko

ええ、もう断末魔だ」

月丸は、手を、草の中へついて、身体を起そうとした。髪は、元結が切れたらしく、乱髪になり、着物が裂け、顔も、頭も血まみれで、乱髪が、頬に、額に、血と共に、こびりついていた。深雪は、自分がそうしたと思うと、何かしら、恐ろしさを感じた。

「さ、急所は、外れておる」

義観が、そう云って、立上った。

「お嬢さんは?」

庄吉の声であった。深雪は

「庄吉」

と、われ知らず叫んで、ちらっと、小太郎の顔を見て

(はしたないと、叱られはすまいか)

と、思った。だが、総てを忘れて、そう叫んだ瞬間は、嬉しさで、いっぱいであった。

「ええ」

と、庄吉が答えた。

「動いてはならぬ。そのまま、臥ているがよい」

義観は、そう云って、深雪を見ると

「先へ戻るがよい。もう済んだ。死人の始末は、坊主の役じゃで――」

と、云って、月丸の背後へ廻ると、腋の下へ両手を入れて、胸を押えてみた。小太郎が

「呼吸は、ござりましょう」

義観は、頷いて、膝を、背へ当てると

「こらしょ」

と、云って、ぐっと、活を入れると共に、月丸が

「うう――ううーん」

と、唸りつつ、脣を、手を、脚を動かした。だが、眼は閉じたきりで、脣は、紫暗色に変じ、頬は、血の中から、灰紫色に見えていた。