Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんどくこう

単独行

加藤 文太郎

Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate

Aozora Bunko

父は生来無口で思っていることの半分もいえぬ性なのだが、私の顔を見るとすぐ、登山は危険だから止めてほしい。そして早く身をかためてくれといった。母がいたならおまえを今まで独りで置きはしなかったであろうに。自分はどれほどそれを心配していることか、自分の病気はだんだん重くなって行くばかりで、もう全快の見込みがない。そう長くは生きておられない自分だ、なんとか安心させてくれないものか、そればかりが心残りなのだがといわれる。私はそれになんと答えたらよかったでしょう。けれど私には嘘をいうだけの勇気がありませんでした。私は「お父さん心配して下さるな。私には命懸けで愛している恋人があるのです。あなたはそれをよく御存知でしょう」と言ってしまった。ところが父は「ああおまえは何を言っているのか。父が死ぬという間際になってこれほどまでに頼むのにまだ迷いの夢が覚めないとは、おお可哀想に、お前はほんとに恐ろしい者につかれてしまったなあ」と心から嘆くのでした。ああほんとに恐ろしい力だ。忘れようとすればするほど、心の奥へくい込んでくる。どんなに我慢しようとしても駄目だ。ああどうしたらよいのか。