Classici giapponesi con furigana
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たんどくこう
単独行
加藤 文太郎
Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate
その晩はだいぶ吹雪かれたので、二人とも少なからず消耗した。吉田君は岩場で奮闘したため、手には凍った毛糸の手袋が一組残っているだけだった。翌日物凄い吹雪の中を前穂へ辿っているうち、とうとう吉田君は手の指を凍傷にしてしまった。奥穂の小屋へ帰ったとき、私は疲れはてて食物も吐出したほどで、吉田君の手を摩擦してあげる元気がなかった。
山を下ってから、吉田君は一カ月余も入院していた。私は吉田君のお父さんに「あんたと一緒だというから安心していましたが」といわれたとき、ほんとにすまないことをしてしまった。たった一人の心の迷いからこうまで多くの人々に心配をかけるとは、おおなんという恐ろしいことだろうとひどく胸を打たれてしまった。それ以来私の心はだんだん変って行った。また故郷の家からは、父の病気はますます重くなって行く、もうそう長くは生きておられないように思うといってきた。私もそう思ったのでもう山登りを止めよう。そしていろいろ心配をかけた不孝をお詫びし、今度こそはほんとにお父さんを安心させようと決心した。そして休暇の貰える日を一日千秋の思いで待っていた。
六月も終り、故郷の町には川下祭という大祭のある一、二日前、急に暑くなったためか父はついに飲物さえ喉を通らなくなった。