Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

Leggi 地獄の使者 (じごくのししゃ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.419 caratteri · 152 schermate

Aozora Bunko

「とんでもない出鱈目だ」

亀之介はすぐ否定したが、語勢は乱れを帯びていた。

「東京クラブの雇人たちが証言しているところによれば、あなたは右の時刻前後に亙る三回、クラブから出て居られる。第一回と第二回のときは、帽子も何も預けたまま出て居られる。第一回は窓からクラブの庭へとび下りた。第二回のときはクラブの調理場をぬけて裏口から出た。第三回目は玄関から堂々と出られた。このときは帽子も何も全部、預り処から受取って出た。そうでしょう」

「知らないね、そんなことは」

亀之介は否定したが、語勢は一層おちた。

「第一回のときは、この邸の庭園に入り、その窓の外から室内を窺った……」

亀之介はぎくりとして、窓枠にかけていた手を引込めた。

「あなたは室内に於て、兄の鶴彌氏と土居三津子の両人が向きあっているところを見た。そこであなたは、時機が悪いと思って、庭園を出てクラブへ引返した」

「君は見ていたのかい。見ていたようにいうからね」

亀之介は、やや元気を盛り返した。

「第二回目は、あなたがその窓から室内を窺うと、もはや三津子氏の姿はなく、兄の鶴彌氏ひとりになっていた。その鶴彌氏は、そこにある皮椅子に腰かけ、左手を小卓子の方へ出して、ぐっすり睡っているように見えた。