Classici giapponesi con furigana
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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Leggi 地獄風景 (じごくふうけい) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 53.774 caratteri · 108 schermate
一度や二度で覚え込める程なら、迷路とは云えぬ。迷えばこそ迷路なのだ。高い生垣で区切られた狭い空を見上げると、太陽も見える。風船や観覧車の一部も見える。空に開いた花火の、黄色い煙が竜の様に下って来るのも眺められる。だが、いくらその様な目印があったとて、平地を歩くのではないのだから、何にもならぬ。空ばかり見て中心へと向っていても、いつしか袋小路に行当って、動きがとれなくなってしまうのだ。
曲り曲った果しも知らぬ夢の細道、行っても行っても永劫に尽きることなき狂気の細道、折枝はふと怖くなった。一度おじけづくと、もう際限がない、襟足の生毛がゾーッと音を立てて逆立ち、開いた毛穴から、水の様に冷い風がしみ込むのだ。
足なみは、心臓の鼓動と共に早くなる。ヒタヒタ、ヒタヒタ、我が足音を不気味に聞きながら、急ぎに急ぐ。
と、その足音とは調子の違うもう一つの足音が、入混って耳をうち始めた。谺かしら、それとも気のせいかしら、イヤ、そうではない。確に人の足音、力強い男の足音だ。アア分った、大野さんだわ。あの人が木の葉の壁一重向うを歩いているのだ。二人の通路が偶然隣り合わせになったのだ。