Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Leggi 夏の花・心願の国 (なつのはな) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.816 caratteri · 310 schermate
少年の日の彼の夢想を育んだ山や河はどうなったのだろうか、――彼は足の赴くままに郷里の景色を見て歩いた。残雪をいただいた中国山脈や、その下を流れる川は、ぎごちなく武装した、ざわつく街のために稀薄な印象をとどめていた。巷では、行逢う人から、木で鼻を括るような扱いを受けた殺気立った中に、何ともいえぬ間の抜けたものも感じられる、奇怪な世界であった。
……いつのまにか彼は友人の手紙にある戦慄について考えめぐらしていた。想像を絶した地獄変、しかも、それは一瞬にして捲き起るようにおもえた。そうすると、彼はやがてこの街とともに滅び失せてしまうのだろうか、それとも、この生れ故郷の末期の姿を見とどけるために彼は立戻って来たのであろうか。賭にも等しい運命であった。どうかすると、その街が何ごともなく無疵のまま残されること、――そんな虫のいい、愚かしいことも、やはり考え浮ぶのではあった。
黒羅紗の立派なジャンパーを腰のところで締め、綺麗に剃刀のあたった頤を光らせながら、清二は忙しげに正三の部屋の入口に立ちはだかった。
「おい、何とかせよ」
そういう語気にくらべて、清二の眼の色は弱かった。