Classici giapponesi con furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Leggi 夏の花・心願の国 (なつのはな) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.816 caratteri · 310 schermate
私もそろそろ、東練兵場の方へ行こうとすると、側にいた兵隊が同行を頼んだ。その大きな兵隊は、余程ひどく傷ついているのだろう、私の肩に凭掛りながら、まるで壊れものを運んでいるように、おずおずと自分の足を進めて行く。それに足許は、破片といわず屍といわずまだ余熱を燻らしていて、恐しく嶮悪であった。常盤橋まで来ると、兵隊は疲れはて、もう一歩も歩けないから置去りにしてくれという。そこで私は彼と別れ、一人で饒津公園の方へ進んだ。ところどころ崩れたままで焼け残っている家屋もあったが、到る処、光の爪跡が印されているようであった。とある空地に人が集っていた。水道がちょろちょろ出ているのであった。ふとその時、姪が東照宮の避難所で保護されているということを、私は小耳に挿んだ。
急いで、東照宮の境内へ行ってみた。すると、いま、小さな姪は母親と対面しているところであった。昨日、橋のところで女中とはぐれ、それから後は他所の人に従いて逃げて行ったのであるが、彼女は母親の姿を見ると、急に堪えられなくなったように泣きだした。その首が火傷で黒く痛そうであった。
施療所は東照宮の鳥居の下の方に設けられていた。