Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Leggi 夏の花・心願の国 (なつのはな) di 原 民喜 (はらたみき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.816 caratteri · 310 schermate
突然、僕のなかに無限の青空が見えてくる。それはまるで僕の胸のようにおもえる。僕は昔から眼を見はって僕の前にある青空を眺めなかったか。昔、僕の胸はあの青空を吸収してまだ幼かった。今、僕の胸は固く非常に健やかになっているようだ。たしかに僕の胸は無限の青空のようだ。たしかに僕の胸は無限に突進んで行けそうだ。僕をとりまく世界が割れていて、僕のいる世界が悲惨で、僕を圧倒し僕を破滅に導こうとしても、僕は……。僕は生きて行きたい。僕は生きて行けそうだ。僕は……。そうだ、僕はなりたい、もっともっと違うものに、もっともっと大きなものに……。巨大に巨大に宇宙は膨れ上る。巨大に巨大に……。僕はその巨大な宇宙に飛びついてやりたい。僕の眼のなかには願望が燃え狂う。僕の眼のなかに一切が燃え狂う。
それから僕は恋をしだしたのだろうか。僕は廃墟の片方の入口から片一方の出口まで長い長い広い広いところを歩いて行く。空漠たる沙漠を隔てて、その両側に僕はいる。僕の父母の仮りの宿と僕の伯母の仮りの家と……。伯母の家の方向へ僕が歩いてゆくとき、僕の足どりは軽くなる。僕の眼には何かちらと昔みたことのある美しい着物の模様や、何でもないのにふと僕を悦ばしてくれた小さな品物や、そんなものがふと浮んでくる。