Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

Leggi 夜の構図 (よるのこうず) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.068 caratteri · 125 schermate

Aozora Bunko

第四章

しかし、なぜ気が滅入るのか。信吉はきょとんとして窓外の白い雨足を眺めていた。

第四章

真夜中の電話について。

奇妙な朝食のこと。

更に奇妙な死亡広告の主のこと。

十一時。

ホテルの部屋に寄った信吉は、ちらと腕時計を見て、電話の受話機を外した。伊都子の部屋へ掛けようとしたのだ。

その時、ドアをノックする音が聴えた。

「どうぞ!」

鍵は掛っていなかったので、ドアはすぐひらいて、はいって来たのは、やはり伊都子だった。

口を結んで、半泣きの顔で微笑しながらちょぼんと立っていた。風呂から上ったばかしであろう、髪の毛が濡れていた。

昼間、男に任せた体を、どんな想いで洗ったのであろう。信吉も、

「…………」

咄嗟に言葉は出ず、黙って寄って行き、抱こうとすると、伊都子は結んでいた口をひらいて、

「ああ――」

かすかな声をあげながら、両手を信吉の背中の方へ伸ばした。そして、足を爪立てた。

蜜柑の房を口に入れたような感触、そして咽喉の奥から上って来る情欲の匂いのような口臭、湯上りの匂いにまじった腋臭の匂い、精一杯の娘の生きた匂いであった。

信吉はすぐ胸を離した。そして二人並んで寝台の端に腰を下した。