Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

Leggi 夜の構図 (よるのこうず) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.068 caratteri · 125 schermate

Aozora Bunko

第六章

噂が立つし……」

女優らしい言い方だった。

「じゃ、どうする……?」

「お部屋へ行きましょうよ」

信吉は、がっかりした。伊都子と同じ科白!

あまりのあっけなさに興冷めしたが、しかし信吉は冴子と一緒にエレヴェーターに乗った。予定の行動といった顔で……。

第六章

冴子が照れ症であったこと。

接吻をしなかった理由。

奇妙なる伝言。

更に奇妙なる男が出現すること。

例によって、四五三号の信吉の部屋。

昨夜の伊都子の残り香がまだ漂っている筈だったが、煙草の匂いがそれを消していた。

「香をたく代りに、煙草をたいてるのね」

と、冴子はちょっと気の利いたことを言った。

窓側に向い合って坐った。

冴子は帽子をとった。

帽子をとると、もう冴子はただの女に見えた。机の上に置かれた帽子は、安サラリーマンのカンカン帽以上に豪華にも見えなかった。脱ぎ捨てられたレヴューガールの衣裳のようだといおうか、それとも、ハンドバッグの中の使い残りの棒紅のようだといおうか。豪華を装っても、たかが日本の娘だ。永い戦争に疲れた、みじめさがあった。そのみじめさが、しかし、信吉の好みでないとはいえない。帽子をとってくれてふと安心したようなものだ。