Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
Leggi 夜の構図 (よるのこうず) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.068 caratteri · 125 schermate
「正午……?」
「そう。それより早いと僕はまだ寝ているし、それより遅いと、二時に出掛けなくちゃならないし……」
昼まで寝るというのは、嘘ではなかったが、二時に出掛けるというのは出鱈目だった。
なぜ、そんな咄嗟の嘘をついたのか。
明日はそんなに引きとめないということをほのめかして、冴子に安心を与えようとしたのか、それとも、二時に出掛けるという嘘が、明日冴子と会っている時の信吉自身に、何かの切っ掛けか口実を与えてくれることに、期待を掛けたのか。
「ええ、じゃ、正午に伺いますわ」
と、冴子は言った。
信吉ははじめて冴子の顔をじっと見た。
冴子の眼は青み勝ちに澄んでいた。信吉はふと新内語りの、どろんと濁った眼を想い出した。デカダンスの泥沼のようなその眼と、泉のように澄んだ冴子の眼!
信吉は冴子に会いたくなったのが、その新内語りの新内を聴いたからだということを忘れて、泥沼の中から這い出した体を、いきなり泉の中へ投げ込みたいという衝動に、胸が温められた。
信吉の眼は冴子と知り合った喜びに燃えて、炎のように冴子の可憐な顔をなめ廻していた。
しかし、眼は燃えても、信吉の表情は全体になぜか冷かだった。