Classici giapponesi con furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Leggi 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.941 caratteri · 79 schermate
「気色の悪い爺く玉だ! 毎晩家の前に立ちやァがる」香具師は呻くように呟いた。「それにしても綺麗な花だなあ。見たことのねえ綺麗な花だ。焔が其尽凍ったような花だ。……おや、裏手へ廻りやァがる。へ、篦棒! 負けるものか!」
円筒に取手が付いていた。その取手をキリキリと廻わした。連れて円筒がグルリと廻った。家の裏手の光景が、鏡の面へ現れた。
その老人は屋根を見上げ、何やら思案に耽っているらしい。と、そろそろと表へ廻った。そこで香具師は取手を廻わした。尚老人は考え込んでいた。
「どうも彼奴ァ俺の苦手だ。構うものか毒吐いてやれ」
香具師はヒョイと手を延ばし、壁から突き出された鉄棒を握り、端に付いている漏斗形の口へ、自分の口を持って行った。
「おお爺さん、何をしているんだ。借家を探すんじゃァあるめえし、ためつすがめつ人の家を毎晩毎晩何故見るんでえ。用があるなら這入って来な。用がねえなら帰るがいい。気にかかって仕方がねえや。それともお前は泥棒なのか。アッハハハ泥棒にしちゃあ少し年を取り過ぎていらあ。八十の熊坂って有るものじゃァねえ。なんの嘘をつけ熊坂なものか! 昼トンビの窃々だろう! おっと不可ねえ晩だっけ、晩トンビなんてあるものじゃァねえ。