Classici giapponesi con furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Leggi 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.941 caratteri · 79 schermate
一七
「鳥渡お待ちを」
と云いすてて、番頭は奥の方へ小走って行った。
と、すぐに引っ返して来た。
「お目にかかるそうでございます」
「ご免下さい」
と男は上った。
後を見送った帳場の主人は、首を捻ったものである。
「どうも此奴も小間物屋じゃあねえ」
そこへ番頭が帰って来た。
「今のお客様を何う思うね?」
「さあ」番頭も首を捻った。「矢っ張り何うもお武士さんのようで」
「私は何んだか気味が悪くなったよ」
主人は眼尻へ皺を寄せた。
一七
「私は何んだか気味が悪くなったよ」
若松屋の主人仁右衛門は、もう一度如何にも気味悪そうに云った。「ねえ番頭さん、奥へ行って、お話のご様子を立ち聞きしておいでよ」
「へえ、お客様のお話をね」気の進まない様子であった。「失礼にあたりはしませんかね」
「そりゃあ解ったら失礼にあたるさ。解らないように立ち聞くのさ」
「あんまり可い役じゃございませんな」
番頭嘉一は不精無精に、足音を盗んで奥へ行った。
此処は奥の部屋であった。
三人が小声で話していた。
「吉田三五郎、どうであった?」
こう云ったのは四十がらみの男、一つか二つ若いかも知れない。商人風につくってはいるが、商人などとは思われない程、立派な風采の持主であった。