Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おくちちぶ

奥秩父

木暮 理太郎

Leggi 奥秩父 (おくちちぶ) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5255 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

奥秩父には二千米を超えている山が三十座以上もある。夫等の山も其間に挟まれた谷も大抵は既に探り尽されて、真に人跡未蹈の地は極めて小部分の外残されていないが、秘密境というような場所は、残念ながら秩父には無いというてよかろう。況して武陵桃源とも称す可き土地などは、狭い山中にあり得可き筈がない。谷間の奥の僅ばかりの平地に、十二、三戸の人家がさびしく立ち並んでいるのを見ると、いつも気の毒という感じが先に起って、詩趣などはなかなか湧いて来ない。一家の生計を優に支え得べき収穫をもたらす豊饒な耕地を有するか、又は天与の恩恵に浴し得る土地でなければ、美しい山村の面影などは容易に見られるものではない。私ははじめ地図の上で中津川の部落を見出した時、これは恐らく山中の別天地ではあるまいかと想って非常に懐しく感じた。実際を見るに及んで其想像の誤っていたことを知った。磽な土地と荒れた住家と生気に乏しい人間とに接して、私が勝手に想像していた美しい山村の幻影は忽ち破られてしまった。此処では馬鈴薯が常食だそうである。

然しながら私どもは、恵まれた環境や整った外観を、美しい山村の要素として、必ずしも欠く可からざるものであるとは考えていないから、私の言葉は少しいい過ぎたようである。