Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
その匂いは、何時の間にか、彼の心をお房の方へ連れて行った。電燈がある。寝台がある。子供の枕頭へは黒い布を掛けて、光の刺激を避けるようにしてある。その側には、妻が居る。附添の女が居る。種夫や下婢も居る。白い制服を着た看護婦は病室を出たり入ったりしている。未だお房は、子供ながらに出せるだけの精力を出して、小さな頭脳の内部が破壊れ尽すまでは休めないかのように叫んでいる――思い疲れているうちに、三吉は深いところへ陥入るように眠った。
翌日は、午前に三吉が留守居をして、午後からお延が留守居をした。
「叔母さん達のように、ああして子供の側に附いていられると可いけれど――叔父さんは、お前、お金の心配もしなけりゃ成らん」
こんなことを言って出て行った三吉は、やがて用達から戻って来て、復た部屋に倒れた。何時の間にか、彼は死んだ人のように成った。
「母さん――」
こういう呼声に気が付いて、三吉が我に返った頃は、遅かった。彼は夕飯後、しばらく姪と病院の方の噂をして、その晩も早く寝床に入ったが、自分で何時間ほど眠ったかということは知らなかった。次の部屋には、姪がよく寝入っている。