Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

三吉叔父も、漸く山から持って来た仕事を纏めた。早く東京で家を持つように成ろう、この考えは正太の胸の中を往来していた。

動き光る若葉のかげで、三吉、正太の二人はしばらく時を移した。やがて庭の方へ引返して行った。荵を仕立てる場所について、植木室の側を折れ曲ると、そこには盆栽棚が造り並べてある。香の無い、とは言え誘惑するように美しい弁の花が盛んに咲乱れている。植木屋の娘達は、いずれも素足に尻端折で、威勢よく井戸の水を汲んでいるのもあれば、如露で花に灑いでいるのもあった。三吉は自分の子供に逢った。

「房ちゃん」

と正太も見つけて呼んだ。

お房は、耳のあたりへ垂下る厚い髪の毛を煩さそうにして、うっとりとした眼付で二人の方を見た。何処か気分のすぐれないこの子供の様子は、余計にその容貌を娘らしく見せた。

「叔父さん、まだ房ちゃんは全然快くなりませんかネ」

「どうも、君、熱が出たり退いたりして困る。二人ばかり医者にも診て貰いましたがネ。大して悪くもなさそうですが、快くも成らない―なんでも医者の言うには腸から来ている熱なんだそうです。」

こんな話をしながら、二人はお房を連れて、庭づたいに井戸のある方へ廻った。