Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
彼は、自分の羞恥と悲哀とを忘れようとしていた。
やがて娘達は、庭の鳳仙花を摘って、縁側のところへ戻って来た。白いハンケチをひろげて、花や葉の液を染めて遊んだ。鳳仙花は水分が多くて成功しなかった。直樹は軒の釣荵の葉を摘って与えた。お俊は鋏の尻でトントン叩いた。お延の新しいハンケチの上には、荵の葉の形が鮮明に印された。
暮れてから直樹は帰って行った。三吉は二人の姪に吩咐けて、新宿近くまで送らせた。
「俊は?」
ある日の夕方、三吉は台所の方へ行って尋ねた。お延は茄子の皮を剥いていた。
「姉様かなし、未だ帰って来ないぞなし」とお延は流許に腰掛けながら答えた。
一寸お俊は自分の家まで行って来ると言って、出た。帰りが遅かった。
「何とかお前に云ったかい」と叔父が心配そうに聞いた。
お延は首を振って、復た庖丁を執り上げた。茄子の皮は爼板の上へ落ちた。
待っても待ってもお俊は帰らなかった。夕飯が済んで、燈火が点いても帰らなかった。八時、九時に成っても、未だ帰らなかった。
「必と今夜は泊って来る積りだ」
と言って見て、三吉は表の門を閉めに行った。掛金だけは掛けずに置いた。