Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
こう嘆息して、三吉は寝床に就いた。
翌朝、お俊は帰って来た。彼女は別に変った様子も見えなかった。
「どうしたい」
と叔父はお延の居るところで聞いた。彼は心の中で、よく帰って来てくれたと思った。
「なんだか急に父親さんや母親さんの顔が見たく成ったもんですから……突然に家へ帰ったら、皆な驚いちゃって……」
こう答えるお俊の手を、お延は娘らしく握った。お俊は皆なに心配させて気の毒だったという眼付をした。
漸く三吉も力を得た。日頃義理ある叔父と思えばこそ、こうして働きに来てくれると、お俊の心をあわれにも思った。
その日から、三吉はなるべく姪を避けようとした。避けようとすればするほど、余計に巻込まれ、蹂躙られて行くような気もした。彼は最早、苦痛なしに姪の眼を見ることが出来なかった。どうかすると、若い女の髪が蒸されるとも、身体が燃えるともつかないような、今まで気のつかなかった、極く極く幽かな臭気が、彼の鼻の先へ匂って来る。それを嗅ぐと、我知らず罪もないものの方へ引寄せられるような心地がした。この勢で押進んで行ったら、自分は畢竟どうなる……と彼は思って見た。
「俺は、もう逃げるより他に仕方が無い」