Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

そのうちに、三吉は大島先生の側へ行って腰掛けることが出来た。先生は重い体躯を三吉の方へ向けて、手を執らないばかりの可懐しそうな姿勢を示したが、昔のようには語ろうとして語られなかった。

「オオ、鍛冶橋に来た」

と先生はあわただしく起立って、窓から外の方の市街を見た。

「もう御降りに成るんですか」と三吉も起上った。

「小泉君、ここで失敬します」

という言葉を残して置いて、大島先生は電車から降りた。

「吾儕に媒酌人をしてくれた先生だったけナア」

こう思って、三吉が見送った時は、酒の香にすべての悲哀を忘れようとするような寂しい、孤独な人が連の紳士と一緒に柳の残っている橋の畔を歩いていた。

電車は通り過ぎた。

「小泉さんはおいでですか」

三吉は森彦の旅舎へ行って訪ねた。そこでは内儀さんが変って、女中をしていた婦人が丸髷に結って顔を出した。

電話口に居た森彦は、弟の三吉と聞いて、二階へ案内させた。部屋にはお俊も来合せていた。森彦は電話の用を済まして、別の楼梯から上って来た。

三吉はお俊と不思議な顔を合せた。殊に厳格な兄の前では、いかにも姪の女らしい黙って視ているような様子がツラかった。