Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

順に娘達はお雪に挨拶して出た。つづいて、三吉も出た。門の前には正太や榊が待っていた。未だ日の暮れないうちから、軒燈を点ける人が往来を馳け歩いた。町はチラチラ光って来た。

水は障子の外を緩く流れていた。榊、正太の二人は電燈の飾りつけてある部屋へ三吉を案内した。叔父の家へ寄る前に、正太が橋の畔で見た青い潮は、耳に近くヒタヒタと喃語くように聞えて来た。

榊は障子を明け払って、

「橋本君、こういうところへ来て楽めるというのも、やはり……」

「金!金!」

と正太は榊が皆な言わないうちに、言った。榊は正太の肩をつかまえて、二度も三度も揺った。「然り、然り」という意味を通わせたのである。

三吉が立って水を眺めているうちに、女中が膳を運んで来た。一番いける口の榊は、種々な意味で祝盃を挙げ始めた。

「姉さんにも一つ進げましょう」と榊は女中へ盃を差した。「どうです、僕等はこれで何商売と見えます?」

女中は盃を置いて、客の様子を見比べた。

「私は何と見えます?」と正太が返事を待兼ねるように言った。

「さあ、御見受申したところ……袋物でも御商いに成りましょうか」

「オヤオヤ、未だ素人としか見られないか」