Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
おそるおそる近寄ってみると彼女は片手両足を失い至極簡単なる胴体となってしまっていた。
彼女の愛人から亀の甲だと呼ばれた彼女の大切なその手はどこへ落として来たものか影も形もなくなっていた。
集まって来た駅の人達も村人も、もうあかんなといっているし、警察の人も警察医も、もうあかんといった。兄ももうあかんと考えた。
兄は電報で、彼女の姉とその亭主を呼んだので彼らは終列車で到着した。姉は蓆の上で無残なる胴体と化けている妹を見て泣いた。しかしその胴体はしきりに水を要求している。そしてその色魔坊主を取り殺すと呼んでいる。
しかしどうせもうあかんものなら病院へ入れることは無駄なことでもあるし、費用という点も至極考えねばならぬことだしするのでとりあえず家へ運んで置いたらよろしいやろ、どうせあすの朝までだすさかいということに話がきまった。
彼女は最後の一夜を玄関の庭の片隅へ蓆を敷いて寝かされ呻き通した。一族は何が何であろうとも、まず一杯飲まねば助からぬということになり座敷では相談がてらの酒宴が開かれた。皆がもう朝までのことだといってその手筈をきめたにかかわらず、死骸となり切れないのが彼女自身である。