Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
礼儀だから。
ところで私自身、まったく私は命をかけつつ日々の難産をつづけその奇怪なる昆虫を産み落としつつあるのである。そして人間の情けなさは馬鹿な母親の如く、いもむしや狸にも似たわが子の眼玉へ接吻したりなどすることになる。
しかし不幸なことにも接吻しながらも変な顔していやがるなと、心の底では思っている。しかしその子は何かの因縁とか因果の種とかいうべき怖ろしいものだとあきらめていて抱いている。
ところがこの変なものを産み出すための難産には随分の体力が必要である。私が一番情けなく思うのはこの体力の不足である。
ことに油絵というものは西洋人の発明にかかるところの仕事だけあって、精力と体力とで固めて行く芸術だといっていいかと思う位のものである。神経の方は多少鈍くとも油絵の姿だけは出来上がるものだといって差し支えない。
私は日本人全体が西洋人程の体力をもっていないことを認めている。それは性慾や食慾について考えても同様である。
日本人の中でも私などはもっとも体力の貧しい方である。私が徴兵検査の時、体重は十貫目しかなかった。検査官の一番偉い人が十貫目という字と私の顔を見比べて、どうかお大切になさいといって、いの一番で解放してくれたものである。