Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
大変口惜しく思われてならぬ。
とにかくエンジンの動く甲板へ立ちさえすれば、われわれが幾枚かの絵を塗りつぶしている間に欧洲航路の船長は、甲板という地上の断片に乗って印度洋を何回か往復するのである。といって用もないのに船長の如く地球を走って見てもつまらないけれども、私は夏における汽船進行の形を見ると誘惑される事甚だしいものがある。せめて別府行きの紅丸でもいいから、それに乗ってあのペンキの匂いを嗅ぎ廻って見たいと思う。鼻から彼南、印度洋、マルセイユが蘇ってくるのだ。
私が印度洋を知らなかった時、私の心配は印度洋と紅海のその暑さの度合だった。どれ位の暑さかという事を経験ある人たちに訊ねて見たが、各々人によって答が異っていた。とても君のからだではあの暑気に堪えられるかどうかという致命的な心配を与えて、私をおどかす者が多かった。ではこれ位ですかといって私は火鉢の火の上に手をかざして見たりもした。
でも、私が日本を出る時、私のスートケースの一個は全く浴衣のねまきと一打の猿股とシャツによって埋められていた。
それは私が暑さを厭うからでなく、汗を特別に嫌がるためだった。