Classici giapponesi con furigana
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やまのみりょく
山の魅力
木暮 理太郎
Leggi 山の魅力 (やまのみりょく) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3956 caratteri · 8 schermate
五
谷の空からは時折時鳥の声が聞える。熊の多い北アルプスでは純白な圏谷の雪の上を大きな真黒な熊がのそりのそり歩いていることなどもあり、鹿の多い南アルプスでは、むら消えの雪間に生えた軟い芳草に飽きて、木蔭に甘睡の夢を貪っている鹿の群を驚かすことなどがある。惜しいことに南アルプスは北アルプスほど降雪に恵まれていないので、夏の残雪には殆ど見るに足るものがない。
五
雲の海の壮観は、また一度山に登って之を見た人の永く忘れることの出来ないものの一であらねばならない。殊にそれが晴れた日の朝や夕方に多いので、雄大な眺望と相待って一層強く印象される。朝早く起きて寒さをこらえつつ頂上に立って見渡すと、下界は一面に白い雲が平に立ち罩めて、綿を敷き詰めたようである。其上に八千尺以上の高山の頂きのみが孤立したり連続したりして、黒く抜け出している様は、まるで荒波の砕けている海上の島を見るようであるが、また銀のお盆の上に黒い石を並べた盆石に譬えられないこともない。眤と見ていると何だか其雲の上が歩いて渡れそうな気がして来る。普通二千乃至二千四百米以上の高山に見られる現象であるが、千八百米足らずの三峠山や、千四百米前後の榛名山又は荒船山などでも見たことがある。