Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
私には先ほどからの、女の凝視の意味がようやく判って来た。何故若い島民の女が(それも産後間もないらしい女が)そんな気持になったか、病み上りの私の身体が女のそういう視線に値するかどうか、また、熱帯ではこんな事が普通なのかどうか、そんな事は一切判らないながら、とにかく現在のこの女の凝視の意味だけはこの上なくハッキリ判った。女の浅黒い顔に、ほのかに血の色が上って来たのを私は見た。かなり朦朧とした頭の何処かで、次第に増して来る危険感を意識してはいたのだが、もちろんそれを嗤う気持の方に自信をもっていたのである。その中に、しかし、私は妙に縛られて行くような自分を感じ始めた。
全く莫迦莫迦しい話だが、その時の泥酔したような変な気持を後で考えて見ると、どうやら私はちょっと熱帯の魔術にかかっていたようである。その危険から救ってくれたものは、病後の身体の衰弱であった。私は縁に足を垂れて腰掛けていたので、女の方を見るためには、身体を捩って斜め後を向かねばならない。この姿勢がひどく私を疲れさせた。しばらくする中に、横腹と頸の筋がひどく痛くなって来て、思わず、姿勢を元に戻すと、視線を表の景色に向けた。