Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
急いで掌をひらいてみると、中から火傷の膿汁でかたまりついた、一寸位の辺の三角形に燃えのこった帳面の切れっぱしが出てきました。
「これも焼けてしまった……命より大事な……」
こういいながら島田は、がっかりして、うらめしそうに燃え残りの紙片をながめていました。
「何だそれは?」と検事と署長とは両方からその汚い紙片をのぞきこみながらたずねた。
「安田銀行の通帳です。せめてこれだけでものこしとこうと思って離さないでいますと、野郎はマッチを擦って、通帳のはしに火をつけたんです。消えかかると何べんも火をつけなおして、とうとうこんなにしてしまったのです。おかげで、こんなに火傷をしてしまいました。何しろ両手を縛られていてのことですから、わたしゃどうにもできませんでした。旦那、これでもまだ銀行では受けとってくれるでしょうか?」
「銀行では何とかしらべてくれるだろう。ところで、その泥棒の顔はちっとも見覚えがないのだな?」
「はい、そのすっかり覆面をしていたものですから、それにわたしはもうのっけからたまげてしまって……」
「泥棒の右の手はあったかおぼえとるか?」
と今までだまってきいていた弓田警部がはじめて口を出しました。