Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
頭の中が鳥の巣のようにかさかさになって、思索力がまったくなくなっている。いったい私は何をしているのだろう? どこから来てどこへ行くつもりなんだろう? そもそも、ここはどこだろう? それよりも、私の現在の状態はどんな具合なのだろう? 私は急にひどい空腹を感じた。象は幸福だなあ、ここにいる動物はみんな非常に幸福だ! 第一安全な住所がある。食物がある。私も何だかここにいると幸福のような気がする。第一ここでは、あの意地の悪い眼を感じなくともよい。下宿のお内儀の細くて険のある眼、下宿代の仕払能力がなくなったと見てとった時に、がらりと一変した、何とも言いようのない、侮蔑と憎悪と猜疑との眼、それから近所界隈のありとあらゆる人間の不快極まる眼! 私は思わず、その眼の一つが、あたりにありはしないかと思って、ひやりとして見まわした。
それはそうと私は世間の人間には全く驚嘆のほかはない。みんな一人の例外もなく生活しているのだ。もちろん悲惨な人間もあるにはあるが、私のように完全に行き詰まっている人間は一人もないらしい。
半年ほど前に三ヶ月の退職手当を貰って、××会社から路頭へほうり出された私は、ちょうどねじをまかれた時計が一定の時間だけ動いていて、ある刹那にぱったり動くのをやめてしまうような具合に、ぴたりと行き詰まってしまった