Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
私のこの耳で、直接、文枝さんの口から、そのことをきけば、私も潔くあきらめます。これが最後のお願いです。
ある富豪――そうか、そういう気なら、あわしてやる。(手をうつ)
女中がはいってくる。
ある富豪――ちょっと、文枝をここへよんでくれ。
女中――かしこまりました。(退場)
三十秒ほど沈黙、文枝がはいってくる。十九歳。
文枝――(東山に向かって)いらっしゃいまし。
東山黙礼する。
ある富豪――東山君がお前に何か用事があるそうだ。
文枝――……(伏目になって頭を垂れる)
東山――文枝さん!
文枝――……(間)
東山――文枝さん、あなたはすっかりご存じですか?
文枝――(細い声で)申しわけありません、許して下さい。
東山――何? ではほんとうですか? まさかと思ったら、あなたもやっぱり金に目がくらんで、親と親とがきめてくれた約束も、これまでの二人の愛もすててしまうんですか? こないだまでの、あなたのやさしい唇から出た愛の言葉は、みんな嘘だったのですか? それとも貴女は金に良心を売って心にもない人のところへゆくのですか?
文枝――すみません、すみません。(低声で泣く)