Classici giapponesi con furigana
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しんぞうとうなん
心臓盗難
海野 十三
Leggi 心臓盗難 (しんぞうとうなん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.434 caratteri · 21 schermate
しかるに君はちゃんとこうして生きて居らるる。それならば君の心臓は盗まれていないと帰納してよいじゃありませんか。どうです」
袋探偵は、若紳士に対して噛んで含めるように説いたつもりであった。気の毒な若紳士よ。君はこの頃にはめずらしい神経衰弱にかかり、恐ろしい幻影に怯やかされているのであろう。
だが探偵の説得は、効を奏しなかった。かの若紳士は、毛布の中から血だらけの手を出すと、自分の胸を指して叫んだ。
「このとおり僕の心臓はなくなっている。君はみえないのか」
これには袋探偵は目を瞠って、急いで懐中電灯を取出すと、その灯を相手の胸へ向けた。彼は驚愕の声を懸命に嚥んだ。若紳士の左胸に捲いた繃帯は、空気の抜けたゴム毬のようにへこんでいた。
だが、あやしいことにスットン、スットンと音が聞える。正しく心音と思われる。
袋探偵はこのことをまことに若紳士に告げ、その注意を喚起した。
「それは聞えている。しかしその音は、僕の胸の中でしているのではない。そしてその音は、僕が二十四時間聞きなれた僕の心臓の音ではないのだ。――ああ、僕の心臓を奪っていった奴。そやつをとっ捕えて、僕の心臓を取戻してくれ。