Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あくにんのむすめ

悪人の娘

野村 胡堂

Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

が、橋を渡って右へ、横網辺から二つ三つ路地を曲ると、乞食の姿は、フッと掻き消す如く見えなくなってしまいました。

「これはいけない」

舌打を一つ、足音を忍ばせて、盲滅法に歩き廻ると、大きい空倉庫らしいバラックに突き当ります。ぐるりと一と廻り、出たのはバアと言ったように元の場所。

気が付くと何処からともなくボソボソと囁やく人声。思わず四方を見廻すと、右手の塀に大穴があって、中腰に覗くと向うの空地が、手に取るように見えます。

空倉庫と塀と川とに挟まった、不正形の空地はなるほど白昼の密会に持って来いの場所です。

話して居るのは、今まで後をつけて来た不思議な乞食と、もう一人は、身投をしようとした美しい娘です。

「お父様、昨夜はどうなすったのですか、お手紙の通りの時間に、仰しゃった場所へ行っても、お父様はお見えにならないんですもの、私はもう何も彼も駄目になったのではないかと思って」

乞食と娘は果して親子? 満更予期しない事ではありませんでしたが、鳴海司郎思わず息をのんで聞耳立てました。

「知って居るよ、お前はがっかりして、あの欄干から身を投げようとしたじゃないか」