Classici giapponesi con furigana
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あいよあい
愛よ、愛
岡本 かの子
Leggi 愛よ、愛 (あいよあい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.138 caratteri · 99 schermate
桃のある風景
食欲でもないし、情欲でもない。肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦のように、自分の喉頭のうしろの辺に鬱して来て、しっきりなしに自分に渇きを覚えさせた。私は娘で、東京端れの親の家の茶室作りの中二階に住んでいた頃である。私は赤い帯を、こま結びにしたまま寝たり起きたりして、この不満が何処から来たものか、どうしたら癒されるかと、うつらうつら持て扱っていた。
人が、もしこれを性の欲望に関する変態のものだったろうと言うなら、或はそうかも知れないと答えよう。丁度、年頃もその説を当嵌めるに妥当である。しかし、私はそう答えながら、ものごとを片付けるなら一番あとにして下さいと頼む。それほど私には、片付けられるまでの途中の肌質のこまかい悩ましさが懐かしく大事なのだから。
母は単純に病気だということに決めてしまって、私の変った症状に興味を持って介抱した。「お欠餅を焼いて、熱い香煎のお湯へ入れてあげるから、それを食べてご覧よ。きっと、そこへしこってる気持がほごれるよ。」「沈丁花の花の干したのをお風呂へ入れてあげるから入りなさい。そりゃいい匂いで気が散じるから。