Classici giapponesi con furigana
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あいよあい
愛よ、愛
岡本 かの子
Leggi 愛よ、愛 (あいよあい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.138 caratteri · 99 schermate
異国食餌抄
夕食前の小半時、巴里のキャフェのテラスは特別に混雑する。一日の仕事が一段落ついて、今少しすれば食欲三昧の時が来る。それまでに心身の緊張をほぐし、徐ろに食欲に呼びかける時間なのだ。どのテーブルにもアペリチーフの杯を前にした男女が仲間とお喋りするか、煙草の煙を輪に吹きながら往来を眺めたりしている。フランス人特有の身振の多い饒舌の中にも、この時許りはどこかに長閑さがある。アペリチーフは食欲を呼び覚ます酒――男は大抵エメラルド・グリーンのペルノーを、女は真紅のベルモットを好む。新鮮な色彩が眼に、芳醇な香が鼻に、ほろ苦い味が舌に孰れも魅力を恣にする。
午後七時になるとレストラントの扉が一斉に開く。誰が決めたか知らない食道法律が、この時までフランス人の胃腑に休息を命じている。
フランス人は世界中で一番食べ意地の張った国民である。一日の中で食事の時間を何より大切な時間と考えている。傍で見ていると、何とも云えず幸福そうに見える。それは味覚の世界に陶酔している姿に見える。恐らく大革命の騒ぎの最中でも、世界大戦の混乱と動揺の中でも、食事の時だけはこういう態度を持ち続けたであろう。