Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
「御退屈でございましたろう。それでもこれであと三日になりました。今度の航海にはしかしお陰様で大助かりをしまして、ゆうべからきわだってよくなりましてね」
と付け加えた。
葉子は一等船客の間の話題の的であったばかりでなく、上級船員の間のうわさの種であったばかりでなく、この長い航海中に、いつのまにか下級船員の間にも不思議な勢力になっていた。航海の八日目かに、ある老年の水夫がフォクスルで仕事をしていた時、錨の鎖に足先をはさまれて骨をくじいた。プロメネード・デッキで偶然それを見つけた葉子は、船医より早くその場に駆けつけた。結びっこぶのように丸まって、痛みのためにもがき苦しむその老人のあとに引きそって、水夫部屋の入り口まではたくさんの船員や船客が物珍しそうについて来たが、そこまで行くと船員ですらが中にはいるのを躊躇した。どんな秘密が潜んでいるかだれも知る人のないその内部は、船中では機関室よりも危険な一区域と見なされていただけに、その入り口さえが一種人を脅かすような薄気味わるさを持っていた。葉子はしかしその老人の苦しみもがく姿を見るとそんな事は手もなく忘れてしまっていた。