Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

とおすので、二人の間には時々危険な沈黙が続く事も珍しくなかった。葉子はしかし、いつでも手ぎわよくその場合場合をあやつって、それから甘い歓語を引き出すだけの機才を持ち合わしていたので、この一か月ほど見知らぬ人の間に立ちまじって、貧乏の屈辱を存分になめ尽くした木村は、見る見る温柔な葉子の言葉や表情に酔いしれるのだった。カリフォルニヤから来る水々しい葡萄やバナナを器用な経木の小籃に盛ったり、美しい花束を携えたりして、葉子の朝化粧がしまったかと思うころには木村が欠かさず尋ねて来た。そして毎日くどくどと興録に葉子の容態を聞きただした。興録はいいかげんな事をいって一日延ばしに延ばしているのでたまらなくなって木村が事務長に相談すると、事務長は興録よりもさらに要領を得ない受け答えをした、しかたなしに木村は途方に暮れて、また葉子に帰って来て泣きつくように上陸を迫るのであった。その毎日のいきさつを夜になると葉子は事務長と話しあって笑いの種にした。

葉子はなんという事なしに、木村を困らしてみたい、いじめてみたいというような不思議な残酷な心を、木村に対して感ずるようになって行った。