Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
その言葉には不思議に重々しい力がこもっていて、木村はしばらくかれこれと押し問答をしていたが、結局事務長の親切を無にする事の気の毒さに、直な心からなおいろいろと旅中の世話を頼みながら、また大きな紙入れを取り出して切手をたたみ込んでしまった。
「よしよしそれで何もいう事はなし。早月さんはわしが引き受けた」
と不敵な微笑を浮かべながら、事務長は始めて葉子のほうを見返った。
葉子は二人を目の前に置いて、いつものように見比べながら二人の会話を聞いていた。あたりまえなら、葉子はたいていの場合、弱いものの味方をして見るのが常だった。どんな時でも、強いものがその強味を振りかざして弱い者を圧迫するのを見ると、葉子はかっとなって、理が非でも弱いものを勝たしてやりたかった。今の場合木村は単に弱者であるばかりでなく、その境遇もみじめなほどたよりない苦しいものである事は存分に知り抜いていながら、木村に対しての同情は不思議にもわいて来なかった。齢の若さ、姿のしなやかさ、境遇のゆたかさ、才能のはなやかさというようなものをたよりにする男たちの蠱惑の力は、事務長の前では吹けば飛ぶ塵のごとく対照された。