Classici giapponesi con furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Leggi 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.349 caratteri · 207 schermate
紫色のシェードの下に、台本をくっている男の横顔が、絞って行くように、私の目から遠のいてしまう。
「旅興行に出ると、俺はあいつと同じ宿をとった、あいつの鞄も持ってやったっけ……でもあいつは俺の目を盗んでは、寝巻きのまゝあの男の宿へ忍んで行っていた。
俺はあの女を泣かせる事に興味を覚えていた。あの女を叩くと、まるで護謨のように弾きかえって、体いっぱい力を入れて泣くのが、見ていてとてもいゝ気持だった。」
二人で縁側に足を投げ出していると、男は灯を消して、七年も連れ添っていた別れた女の話をする。
私は圏外に置き忘れられた、一人の登場人物だ、茫然と夜空を見ていると、此男とも駄目だよ……あまのじゃくがどっかで哄笑している。
私は悲しくなると、足の裏がかゆくなる。一人でしゃべっている男のそばで、私はそっと、月に鏡をかたぶけて見た。
眉を濃く引いた私の顔が渦のようにぐるぐる廻ってゆく、世界中が月夜のような明るさだったらいゝだろう――。
「ねえ、やっぱり別れましょうよ、何だか一人でいたくなったの……もうどうなってもいゝから一人で暮したい。」
男は我にかえったように、太い息を切ると涙をふきちぎって、別れと云う言葉の持つ一種淋しいセンチメンタルに、サメザメと涙を流して私を抱こうとする。