Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
かれはその時咄嗟の間に、ある不思議な神経的な誘惑をかんじた。
「いったい何をしているのであろう。話し声もしなければ煙草ものんでいない。唯うごかずにふたりは白い瓜のように併んでいるのは変だ。何か本でも読んでいるのか。」
そう思って気をつけても、それらしいものが膝の上にはなかったが――かれは、そのとき突然にドアから驚いて飛び退いたのであった。何者かがいてハジキ飛ばしたように、かれはかれのからだを溝からすぐに人家の裏口になっているところの、とある家と家との隙間に身を潜らせたのであった。かれはかのとき、得体のしれない蒼白いものの折り重なっていたのを感じたのであった。
二三分の後に通りとは反対の(ちょうどかれの方から正面に見えるところの)漆塗のドアに、一本の生白い手がすうと辷り出たかと思うと、ハンドルの把手につかまって逆にねじられた。重そうで厚いドアが、さも軽軽と音もなくひらかれた。そこへなりの高い女が、ぱっと飛び下りると続いて服をきた男が下りた。かれらはあたりを見廻して暗い通りを足早に歩いて行った。そのとき烈しい香料の匂いが、溝の臭気を圧しながら、ふうわりと羅のように漂いながら匂っていることをかんじた。