Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
あれが死ぬようなことがあれば、あれが死ぬようなことはないが、しかし悪くなるとすると……考えこむと、女はにっこりして、
「おくさんのある方はやっぱりおくさんの事を考え出すんでしょうね。」
まじめな声で言った。
「まあそうだね。」
男は一向酒がきかなかった。しかたなしに男は床の間の香爐の蓋をあけようとすると、女はすぐ袖をとらえた。
「いけないわ。また、あんなものを見ちゃいけないわ。」
男は気のくさくさするときは香爐の蓋をながめる癖があった。蓋のうらには精細な、美しい男と女とが温かに抱き合っている赤絵がえがかれてあって、ふしぎに男はそれをみているうち、からだに別なちからと精力が湧き出すのがつねであった。鬱々したときはいつもその白い二疋のむつれあった魚のようにぬらぬらしたものに、永い間ひとみをさらすのであった。
「気がくさくさするんだ。見たってかまうものか。」
男は蓋をとりあげると、まじまじと眺めた。これを見ていると、くだらないことを忘れてしまえるからいいのだ。かれはそれを横にしたり透かしたりしていると、
「おかしいわ。そんなに見ちゃ、は、は、は。」
女は微笑って引ったくろうとした。