Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
」
「舟に乗ることを喜ばないって――お前にそれが分るのかね。」
「きょうも急ぐには入らっしゃらなかったことから考えても、そう思われますもの。」
片手を水の上にひたせ、水をなぶっている繊指は、立っている父親の眼の下にあった。そろえた膝と小さな足――こまかいことを考えることに秀でた頭には、煙った髪がさらさらと肩まで垂れている。――眠元朗は棹を休めて娘と対い合って坐った。そして娘の顔をしずかに眺めた。
「お前はお父さまが好きか、又お母さまが好きか、もう一度それを言って見てくれないか。」
娘はそういう父の顔の、ずっと奥の方にある真摯さに刺戟されたが、やはり子供らしく可笑しかった。同じことを繰り返されるということより、その真面目さが可笑しかった。
「どちらも好き――。」
「それはいけない、どっちかに余計好きなところがあるに違いがないから――二羽の異った小鳥にもそれぞれべつに好き好きがあるものだから。」
娘はやはり水の上を指でいじくり、そら眼でほほ笑んで父の眼を見上げている。そして当惑した考えを無理にまとめようとしているらしい無邪気さが、清々した気もちを父親の胸に湧き立たせた。