Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate

Aozora Bunko

「誰だッ、そこに忍んでいるやつは!」

――声と共に、

「静かにせいッ」

藤吉郎は、麻畑の中から、ざっと青い色を戦がせて突っ立った。

「……?」

驚くかと思いのほか、若者は、ひとみを凝らして、じっと彼のほうを見ていたが、やがて、

「……なアんだ。誰かと思ったら、樫原砦のお侍さんか」

と、つぶやいた。

藤吉郎は、それには答えず、振り向いて、後ろにひそむ人々へ、手を振って号令した。

「小屋をつつめ。家の中から駈け出す者は、斬り伏せいッ」

十名近い具足の武者は、麻畑から身を起して、咄嗟に小屋の裏表をかこんだ。

「なんだ? ……。物々しげにおらの家など取り巻いて」

茂助とよばれた若者は、そうつぶやく間に、自分の前へ歩み寄って来る藤吉郎へ、咎めるようにまたいった。

「この家には、おれとおふくろ様と、たんだ二人しかいやしない。親ひとり子ひとりだ。何も仰山そうに、取りかこむことはあるまい。いったい何の用だい。――え、お侍さん」

縁に突っ立ったままそういっている眼ざしは、慌てるどころか、むしろ落着きすぎている。睥睨している。

藤吉郎は、縁の端へ、腰をかけ込んで、話しかけた。

「いや若者、念のためにいたしたことだ。